○南会津地方広域市町村圏組合救急業務取扱規程

平成17年2月28日

組合訓令第1号

目次

第1章 総則(第1条―第6条)

第2章 編成等(第7条―第10条)

第3章 救急活動

第1節 通則(第11条―第14条)

第2節 現場行動(第15条―第31条)

第3節 救急業務計画等(第32条―第34条)

第4節 救急記録報告書(第35条―第37条)

第4章 救急自動車等(第38条・第39条)

第5章 応急手当の普及啓発(第40条)

第6章 雑則(第41条―第48条)

附則

第1章 総則

(目的)

第1条 この規程は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)及び消防法施行令(昭和36年政令第37号。以下「令」という。)に定める救急業務及びこれに付随する業務(以下「救急関係業務」という。)の実施について必要な事項を定め、その能率的な運営を図ることを目的とする。

(消防長の責任)

第2条 消防長は、この規程の定めるところにより南会津地方広域市町村圏組合消防本部管下の救急事情の実態を掌握し、これに対応する救急体制の確立を図るとともに消防署長(以下「署長」という。)を指揮監督し、救急関係業務運営の万全を期さなければならない。

(署長の責任)

第3条 署長は、この規程の定めるところにより出張所長、分遣所長(以下「出張所長等」という。)以下を指揮監督し救急装備及び資器材を有効に管理するとともに、所管救急関係業務の万全を期さなければならない。

(出張所長等の責任)

第4条 出張所長等は、この規程の定めるところにより所属職員を指揮監督し、救急関係業務に関する事務処理、関係簿冊の整理、保管及び器具の整備について万全を期さなければならない。

(関係機関との連絡協調)

第5条 署長は、救急に関する事務を行っている関係機関と救急業務の実施について常に情報を交換し、緊密な連絡協調を図るように努めなければならない。

(救急関係業務の実施区域)

第6条 救急関係業務の実施区域は、別に定めるところによるものとする。

第2章 編成等

(救急隊の編成)

第7条 救急隊は、救急自動車(以下「救急車」という。)1台及び救急隊長(以下「隊長」という。)、救急隊員及び機関員(以下「隊員」という。)をもって編成する。

2 隊長は、原則として消防士長以上の階級にある者をもって充てる。

(救急隊員の資格等)

第8条 隊長及び隊員は、次のいずれかに該当する者のうちから消防長又は署長が命ずる。

(1) 救急救命士(救急救命士法(平成3年法律第36号)第2条第2項に規定する救急救命士をいう。)の資格を有する者

(2) 救急隊員の行う応急処置等の基準(昭和53年消防庁告示第2号)第5条第2項に規定する者

(3) 令第44条第3項各号のいずれかに該当する者

(救急指揮班)

第9条 出場救急隊が3隊以上となる事故現場には、別に救急指揮班を出場させるものとする。

2 救急指揮班は、原則として消防司令補以上のものが同乗するものとする。

3 前項に定める消防司令補以上の者は、救急指揮班を指揮して第14条に定める任務を行うとともに、現場における全般の指揮に当たるものとする。

(隊員の服装)

第10条 隊員は、救急業務を実施する場合は、救急服(白衣)及び救急帽(保安帽)を着用するものとする。

第3章 救急活動

第1節 通則

(救急隊の任務)

第11条 救急隊は、法に定める救急業務を行うほか、医療上緊急を要する場合には医師、看護師、助産師等(以下「医師等」という。)又は資器材を輸送するものとする。

(隊長の責任)

第12条 隊長は、上司の命を受け、隊員を指揮して前条に定める任務を遂行するとともに、救急関係業務に関する事務の処理、関係簿冊の整理、保管及び救急器具の整備について責任を負うものとする。

2 隊長は、任務遂行に当たり、通信指令室との連絡を密にしなければならない。

(救急隊員の心得)

第13条 隊長及び隊員は、業務の特殊性を十分自覚し、特に次の各号について留意しなければならない。

(1) 傷病者の取扱いに当たっては、言語、動作に十分注意し、迅速、適確、懇切丁寧を旨とし、傷病者に羞恥心又は不快の念をいだかせないように努める。

(2) 業務上知り得た事項は、みだりにこれを他に漏らさないこと。

(3) 常に身体、着衣の清潔保持に努めること。

2 隊員は、救急車の運転に当たっては、緊急要務の運転という点から十分事故の防止に留意するとともに、救急事故の現場においては、その特殊事情から二次災害の防止に努めなければならない。

3 傷病者の応急処置等に当たっては、各種傷病からの感染防止に努めなければならない。

(救急指揮班の任務)

第14条 救急指揮班は、一般に次の各号に掲げる任務を行うほか、救護班が設けられた場合にその班員となる。

(1) 傷病者搬送順位の選定

(2) 傷病者の保護及び救急処置

(3) 通信指令室との連絡

(4) その他現場における救急活動を円滑に行うに必要な事項

第2節 現場行動

(搬送順位と救急処置)

第15条 隊長は、傷病者多数の現場においては、原則として症状の重いと認められる者を優先的に搬送するとともに、必要に応じて一部の隊員を現場に残留させる等傷病者の保護について配慮するものとする。

2 隊長は、現場及び搬送途上において傷病者に対して適切な救護処置を施すとともに、看護に努めなければならない。

(警察への協力)

第16条 隊長又は現場最高指揮者は、救急関係業務の実施に当たり交通事故、犯罪事故又はその他必要と認められる場合は、速やかに警察機関に通報するとともに、次の各号に注意し現場保存及び証拠の保全に努め、警察機関の行う捜査活動に協力するものとする。

(1) 傷病者の救護に当たっては、できるだけ現場を変更しないよう注意すること。

(2) 現場における凶器等の遺留品又は足跡、車轍痕その他証拠となると思われる一切の物にみだりに手を触れ、又は移動する等のないよう注意すること。

(3) 警察官の現場臨場前に現場到着の場合、救護前における現場の状態を明らかにしておく必要があると認められるときは、写真撮影等必要な処置を講じておくこと。

(錯乱者等の取扱い)

第17条 隊長は、当該傷病者が錯乱状態又は泥酔のため、自己若しくは他人の生命、身体又は財産に危害を及ぼすおそれがあると認められる場合は、警察官の出動を要請するものとする。

(医療機関等の選定)

第18条 隊長は、傷病者搬送に当たり、法第2条第9項に定める医療機関、その他の場所(以下「医療機関等」という。)を選定する場合は、努めて当該傷病者又はその関係者の意志を尊重するとともに、傷病者に最も利益となるように努めなければならない。

(医師搬送等)

第19条 医師等の搬送は、次によるものとする。

(1) 救急要請時又は現場到着時において、傷病者の状況により搬送の可否について、医師等の判断を必要とするとき。

(2) 救急現場において、救急車に収容困難な状況にある傷病者の生命維持及び応急処置のため、医師等を必要とするとき。

(3) 前2号に定めるもののほか、傷病者の状態から医師等の搬送を必要と認めたとき。

2 救急車への医師等の同乗要請は、次によるものとする。

(1) 傷病者の搬送途上で、容態の急変により一時的医療処置を受けるため立ち寄った医療機関の医師が、目的医療機関まで医療を継続する必要を認めたとき。

(2) 救急現場にある医師が、医師の管理のもと医療機関に搬送する必要を認めたとき。

(3) 前2号に定めるもののほか、傷病者の状態から医師等の同乗を必要と認めたとき。

(医療資器材等の輸送)

第20条 医療資器材等の輸送は、次によるものとする。

(1) 医療機関及び救急業務実施機関等から医療処置上必要なものとして、緊急に搬送を依頼されたとき。

(2) 救急現場において、応急処置上必要なものとして緊急に搬送を必要とするとき。

(搬送の制限)

第21条 隊長は、傷病者若しくはその近親者等が搬送されることを辞退若しくは拒否した場合、又はその傷病の種類若しくは程度によっては、医療機関等への搬送を行わず必要に応じた現場処置にとどめることができる。ただし、傷病者若しくはその近親者等が搬送を辞退若しくは拒否した場合であっても、搬送しないことが傷病者の生命に著しく危険であると判断したときは、この限りでない。

2 前項の場合、隊長は、傷病者を搬送することが傷病の程度を悪化させ、又は生命に重大なる影響を及ぼすものと認められるときは、医師の診療を要請し、その意見を求める等の配慮をしなければならない。

3 傷病者が医療機関等へ搬送されることを辞退若しくは拒否した場合は、現場処置の有無にかかわらず、不搬送同意書(様式第1号)に傷病者又は関係者の署名を求めるものとする。

(死亡者の取扱い)

第22条 隊長は、傷病者が明らかに死亡している場合又は医師が死亡していると診断した場合は、これを搬送しないものとする。ただし、次の各号の一に該当する場合は、他の機関の行う遺体の運搬又は収容作業に協力することができる。

(1) 警察の行う検視又は実況見分が終了し、他に適当な運搬方法がなく、かつ、遺体を事故現場に放置することが社会通念上又は救急業務の執行上、悪影響を及ぼすものと隊長が認めて当該機関に協力する場合

(2) 遺体の運搬又は収容に協力の必要があるとして、署長より特命された場合

(一般人に対する協力の要請)

第23条 法第35条の10の規定に基づき救急隊員が、事故現場附近にある者の協力を求めるに当たっては、協力者の危害防止に十分留意するとともに、協力を得た場合は、その住所氏名等の聴取を行わなければならない。

(関係者の同乗)

第24条 隊長は、救急関係業務の実施に際し必要と認めるときは、傷病者とともにその関係者、医師又は警察官を同乗させることができる。

(転院搬送時の注意)

第25条 医療機関等からの要請により傷病者を他の医療機関等へ搬送する場合(以下「転院搬送」という。)は、搬送先の選定とその受入態勢の確保を努めて要請側において配慮させるとともに、前条により医師の同乗を求めるものとする。

(未成年者の取扱い)

第26条 未成年の傷病者を搬送する場合は、努めて保護者を同乗させるものとする。

(医師への申し継ぎ)

第27条 隊長は、医療機関等へ傷病者を搬送したときは、直ちに医師に対し、次の各号の事項を告げるものとする。ただし、搬送時医師が同乗した場合又は転院搬送に際し当該医療機関相互において連絡が行われた場合は、この限りでない。

(1) 現場到着時の傷病者の容態及び環境

(2) 受傷又は発病の推定、原因及び経過

(3) 現場到着から医療機関到着までの所要時間とその間における受傷者の病状経過

(4) 救急処置の概要

(5) その他医師の参考となると思われる事項

(所持品の取扱い)

第28条 傷病者(特に意識障害者)の救護に当たっては、その所持品の保存取扱いについて十分な配慮を行うとともに、次の各号によるものとする。

(1) 搬送に際しては、遺留品の有無を点検すること。

(2) 身元確認等のため所持品等を調べる場合は、努めて警察官に依頼するか、又は医師その他の第三者の立ち会いのもとに行うこと。

(3) 貴重品の取扱いは特に慎重に行い、やむを得ない場合に限って、自ら保管するほかは、おおむね次の関係者の順序に従って他に依頼すること。この場合は、救急原票に所要の事項を記載し、かつ、受託者の署名を得ておくものとする。

 警察官

 傷病者の近親者

 立ち会いの医師

 その他適当と認められる者

(要保護者等の取扱い)

第29条 署長は、生活保護法(昭和25年法律第144号)に定める被保護者又は要保護者と認められる傷病者を搬送した場合においては、同法第19条各項に定める機関に通知するものとする。

(感染症患者の取扱い)

第30条 救急隊は、傷病者が感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)第6条に規定する1類感染症、2類感染症、指定感染症又は新感染症に該当する疾病(以下「感染症」という。)であることを明らかに知ってこれを搬送してはならない。

2 署長は、救急隊が感染症又はその疑いのある傷病者を搬送した場合は、速やかに当該診断を下した医師又は保健所長の指示に従って当該救急隊に対し、隊員の健康管理、清潔方法、救急車の消毒及びその他必要な処置を行うよう命ずるものとする。

3 前項の医師又は保健所長の指示は、当該救急原票に添えて保管しておくものとする。

(傷病者の家族等への連絡)

第31条 隊長は、救護に際し傷病者の障害程度その他により必要と認めるときは、通信指令室を経てその家族等に対し速やかに事態の概要を連絡するように努めるものとする。

第3節 救急業務計画等

(救急業務計画)

第32条 局地的に傷病者が10人以上(推定の場合も含む。)発生した救急事故(以下「集団救急事故」という。)の救急業務計画については、別に定める。

(訓練)

第33条 署長は、前条救急業務計画に基づき救急業務の円滑適正を図るため、毎年1回以上救急事故を想定した訓練を実施しなければならない。

(救急業務に関する基礎調査)

第34条 署長は、救急関係業務の円滑な実施を図るため、管轄区域内における次の各号の事項について調査を行い、消防長に報告しなければならない。

(1) 地理及び交通の状況

(2) 救急事故が発生しやすいか、又は同一救急事故により多数の傷病者の発生が予想される対象物の位置、構造、進入路等

(3) 医療機関及び医薬品保有所等の位置、名称等

(4) その他消防長が必要と認める事項

2 調査結果は、別に定める救急調査書に記録しておくとともに、各救急隊に1部配付するものとする。

第4節 救急記録報告書

(救急業務に関する諸報告)

第35条 救急関係業務に関する諸報告書は、次の各号により確実に行わなければならない。

(1) 隊長は、救急隊が帰署(所)したときは、救急関係業務実施の状況について速やかに口頭又は電話で署長に報告するとともに、詳細は別に書面で報告しなければならない。

(2) 署長は、事故の状況が重大又は特異であると認められるときは、速やかに口頭又は電話で消防長に報告し、事故の内容が判明次第、その詳細を書面で報告しなければならない。

(3) 前号の重大又は特異事故とは、概ね次に掲げる事故をいう。

 傷病者及び死者の合計が5人以上の救急事故

 死者3人以上の救急事故

 その他特異な救急事故

2 署長は、救急関係業務に関連してその紛議又は事故等の発生を知ったときは、速やかに口頭又は電話で消防長に報告しその指示を受け、事案の処理に当たるとともに、その状況については、別に書面で報告しなければならない。

(勤務交替と引継ぎ等)

第36条 救急隊の勤務交替に当たっては、次の事項について確実に事務の引き継ぎ等を行い、その旨を別に定める勤務日誌の引継ぎ欄に記載し事務運営に支障のないように努めなければならない。

(1) 救急自動車の整備状況と異状の有無

(2) 積載資器材の異状の有無

(3) 積載薬品の使用状況及び残量数等

(4) 当務日に取扱った完結業務の概要及び出動原票の整理が、未完結のため引継ぎを必要とする事故の詳細

(5) その他

(救急関係業務の月報)

第37条 出張所長等は、管内における月間の救急関係業務について、翌月3日までに書面により署長に報告しなければならない。

2 署長は、署の管轄区域における月間の救急関係業務について、翌月7日までに救急月報により消防長に報告しなければならない。

第4章 救急自動車等

(消毒及び清掃)

第38条 隊長は、次の各号の定めるところにより、救急車及びその積載品、その他救急用資器材等の清掃及び消毒を実施し、常に衛生保持に努めなければならない。

(1) 定期消毒 毎月1回

(2) 使用後消毒 毎使用後

2 前項に規定する消毒を実施する際の消毒薬品及び使用方法については、別に定める。

(消毒の標示)

第39条 署長は、前条第1項第1号による定期消毒を実施したときは、その旨を定期消毒実施表(様式第2号)に記入し、救急車の見やすい場所に標示しておかなければならない。

2 隊長は、前条第1項第2号により消毒を実施したときは、勤務日誌にその旨を記入しておかなければならない。

第5章 応急手当の普及啓発

(住民に対する普及啓発)

第40条 消防長は、住民に対する応急手当の普及啓発活動を計画的に推進するよう努めるものとする。

2 応急手当の普及啓発活動の推進に関することについては、別に定める。

第6章 雑則

(救急原票の閲覧)

第41条 署長は、救急原票を部外に閲覧させてはならない。ただし、次の各号の場合はこの限りでない。

(1) 根拠法令を明示した公文書等による要請があった場合

(2) 警察官等の捜査上の必要による要請があった場合

(3) 学術研究上の必要による要請等で消防長が特に認めた場合

2 前項ただし書により救急原票を閲覧させたときは、救急原票閲覧記録表(様式第3号)に記録しておくものとする。

(救急搬送証明)

第42条 署長は、傷病者を搬送した場合は、当該傷病者又はその関係者から証明の願い出があったときは、救急自動車出動証明書(様式第4号)により証明するものとする。

(救急医薬品等の受払い)

第43条 救急車に備えつけてある医薬品等については、別に定める受払簿を備えつけておき、常に受払いの状況を明確にしておかなければならない。

(災害救助法における救助との関係)

第44条 災害救助法(昭和22年法律第118号)が適用された場合における救急関係業務の実施は、同法の規定に基づく救助に協力する関係において実施するものとする。

(文書作成等の要領)

第45条 この規程で定めるもののほか、救急関係業務に関する文書の作成、整理及び保管の具体的な要領は別に定める。

(必要事項)

第46条 この規程の施行に関し必要な事項は、別に定める。

(救急隊の標旗等)

第47条 救急車には両側面に消防署名を、後部扉部に消防本部名を標示するとともに、常時標旗を掲げておくものとする。

(救急自動車に備える器具等)

第48条 救急車には救急業務実施基準(昭和39年自消甲救発第6号)に基づく資器材を備えるものとする。

1 この訓令は、平成17年3月1日から施行する。

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南会津地方広域市町村圏組合救急業務取扱規程

平成17年2月28日 組合訓令第1号

(平成17年3月1日施行)

体系情報
第7類 務/第1章 防/第5節 救急業務
沿革情報
平成17年2月28日 組合訓令第1号