○南会津地方広域市町村圏組合火災原因及び損害調査規程
昭和49年8月27日
組合訓令第14号
目次
第1章 総則
第1節 通則(第1条―第5条)
第2節 火災調査の心構え(第6条―第10条)
第2章 原因調査
第1節 通則(第11条・第12条)
第2節 火災炎上中の調査(第13条・第14条)
第3節 現場保存(第15条―第19条)
第4節 鎮火後の調査(第20条―第23条)
第5節 質問(第24条―第35条)
第6節 火災原因の判定(第36条―第39条)
第3章 死傷者調査(第40条)
第4章 損害調査(第41条・第42条)
第5章 雑則(第43条―第47条)
附則
第1章 総則
第1節 通則
(趣旨)
第1条 消防法(昭和23年法律第186号)第7章の規定に基づく火災の調査(以下「火災調査」という。)の実施に関しては、この規程の定めるところによる。
(火災調査の目的)
第2条 火災調査は火災の原因及び消火のために受けた損害を明らかにし、火災予防対策及び消防施策の充実強化に資することを目的とする。
(火災調査の区分)
第3条 火災調査は、火災原因の調査(以下「原因調査」という。)と火災のために受けた死傷者の調査並びに火災及び消火のために受けた損害の調査(以下「損害調査」という。)の区分により行う。
(火災調査の対象たる火災の種別)
第4条 火災調査は、次の各号の火災種別により行う。
(1) 建物火災 建物又はこれに収容されているものを焼棄した火災をいう。
(2) 車両火災 動力によって運転する車両又はその積載物を焼棄した火災をいう。
(3) 船舶火災 消防法の適用を受ける船舶又はその積載物を焼棄した火災をいう。
(4) 航空機火災 人が乗って航空の用に供することができる飛行機若しくは飛行船又はこれらに積載したものを焼棄した火災をいう。
(5) 林野火災 山林及び原野を焼棄した火災をいう。
(6) その他の火災 前各号以外の火災をいう。
2 1件の火災において数個の火災種別を含む場合は焼き、損害の最も大きい火災種別をもってその火災の火災種別とする。
(調査員)
第5条 火災調査に従事する消防職員(以下「調査員」という。)は、火災調査に必要な学実科の研修を受けたものでなければならない。
2 調査員は、常に火災現象及び関係法令の研究に努め、並びに調査技術について工夫及び改善をはかるとともに社会の動向及び所轄区域内の諸状勢をは握し、調査能力の向上を期さなければならない。
第2節 火災調査の心構え
(火災調査の基本)
第6条 火災調査は、安寧秩序の保持及び社会公共の福祉に資することを自覚し、事案の難易にかかわらず強固な信念をもって迅速的確かつ公正に行わなければならない。
(法令の遵守)
第7条 火災調査を行うに当たっては、消防法、その他消防関係法令を遵守し、いやしくも個人の権利及び自由を不当に侵害することのないよう注意しなければならない。
(記録)
第8条 調査員は、火災調査においてはその経過、その他参考となるべき事項を逐次明細に記録しておかなければならない。
(警察との協力)
第9条 調査員は、火災調査を行うに当たっては、関係警察職員と緊密な連絡を保持し、相互に協力しなければならない。
(関係者の立会い)
第10条 火災現場の調査は、必要に応じ関係のある者の立会いを求めて行い、調査の信ぴょう力の確保に努めなければならない。
第2章 原因調査
第1節 通則
(原因調査の方針)
第11条 原因調査は、物的調査を主とし、これに関連的に人的調査を行わなければならない。
2 調査員は、先入観念にとらわれることがあってはならない。
3 調査員は、原因調査においては、できるだけ多く必要な資料を収集し、写真を撮影し及び図面を作成するように努めなければならない。
4 調査員は、前項の写真を撮影したときは、写真撮影台帳に必要事項を記入するとともに、印画には説明をつけて保存しなければならない。
(原因調査の過程)
第12条 原因調査は、火災鎮火後行うを原則とするも、人員等に余裕がある場合、消火活動中あるいは、炎上中においても行わなければならない。
第2節 火災炎上中の調査
(火災状況の見分報告)
第13条 出場監督者又は調査員は火災現場(以下「現場」という。)到着後直ちに火災状況を詳細に見分し、出火出場時における見分調書(第1号様式)を作成し報告しなければならない。
(1) 出火出場途上における火煙の状況
(2) 現場到着時の延焼部位及びその延焼状況
(3) 燃焼の経路及び経過
(4) 他の建物への延焼状況
(5) 飛火による影響
(6) 延焼中における特異の現象
(7) 消防隊の活動状況
(8) 鎮火の状況
(9) その他必要な事項
(聞込調査)
第14条 調査員は、火災状況の見分を行うとともに現場附近一帯の聞込調査を行わなければならない。
(1) 火災の早期発見者、その他火災関係者
(2) 出火当初の延焼状況
(3) 出火時刻後の出火家屋附近の人の所在及び動態
(4) 出火前後に起こったいろいろの現象
(5) その他必要な事項
第3節 現場保存
(現場保存)
第15条 調査員及び消防隊その他消防活動に関係ある者は出火点と認められる箇所の現場保存が確実に行われるように努めなければならない。
(消火活動中の現場保存)
第16条 消防隊員が火元附近の消火に際しては、できうる限り焼失前の状態が推知できるように現場の保存を行わなければならない。
2 消防隊員は、残火鎮滅に際して、出火場所と認められる附近の物を移動し、又は破壊しようとする場合はその旨を調査員に連絡するとともに原状が判るよう必要な措置をとらなければいけない。
(現場保存のための処置)
第17条 消防長又は消防署長は、現場保存を確実に行うため必要があるときは、現場区域を定めるものとする。
2 消防長又は消防署長は、前項により現場保存区域を定めたときは、消防職員であってもみだりに区域内に出入りさせないようにしなければならない。
3 調査員又は監視員は、調査上重要と認められる資料で、光線雨水などにより変質し、変形し、又は消失するおそれがあるものについては、おおいをする等、適当な方法によりその原状を保持するよう努めなければならない。
4 前項の監視員は、警察官と協議の上現場保存に努め互に協力しなければならない。
(現場保存ができないときの措置)
第18条 調査員又は監視員はやむを得ない理由により現場を変更する必要があるとき又は調査資料を原状のまま保存することができないときは、写真、見取図、記録その他の方法により原状を明らかにする措置をとらなければならない。
(監視員の報告)
第19条 監視員は、現場保存区域を監視中に発見し、聞知した事項及び現場の変更その他について漏れなく調査員に報告しなければならない。
第4節 鎮火後の調査
(実況見分調書)
第20条 調査員は焼棄状況の見分、又は発掘を行ったときは、その結果を実況見分調書(第2号様式)に記載しておかなければならない。
2 前項の実況見分調書には、その内容を明らかにするために証拠資料並びに写真をちょう付用紙に整理した写真及び図面を添付し必要な説明を加えなければならない。
(焼棄状況の見分)
第21条 調査員は焼棄現場の見分に当たっては、全体を識別できる位置において現場の外周から始めて中心部に至る経路をたどり、焼棄状況をあらゆる角度から見分しなければならない。
(1) 柱、はり、けた等倒潰状況
(2) 屋根材、その他の落下状況
(3) 延焼の状況
(4) 不燃性物質の変色、き裂、溶融物等の状況
(5) その他必要な事項
3 調査員は前項の焼棄状況の見分において、2以上の同一の性質又は種類の焼棄物を選び、これらの同一の部位について比較検討しなければならない。
(発掘見分)
第22条 調査員は出火したと認められる箇所が判明したときは当該箇所及びその附近の発掘を行い、原因決定に必要な資料の発見に努めなければならない。
(1) 発掘作業に必要な物品、器材等をあらかじめ準備しておくこと。
(2) あらかじめ発掘範囲を定め、外周部から中心部に向って発掘作業を進めること。
(3) 堆積物があるときは、上部から順次除去していくこと。
(4) 中心部の重要と認められる箇所は、なるべく手をもって入念に掘り進(見分)めること。
(5) 発掘作業の途中で重要と認められる資料が発見されても直ちにこれを抜きとらず写真におさめ、資料位置の確保をはかり、更に順序に従って作業を進めること。
(6) 床面の発掘は特に慎重に行うこと。
(発掘資料の位置づけ)
第23条 調査員は発掘見分により、しゅう集した資料について、その発見された位置を明確にし、他の資料との相互関係を測定しなければならない。
第5節 質問
(質問)
第24条 調査員は、火元責任者、火気取扱者、火災の早期発見者、その他当該火災について知っているものと認められるものに対して出火前後の模様発火源と思われるものの使用又は取扱いの状況等、火災の原因決定に必要と認められる事項について質問しなければならない。
(質問者の心構え)
第25条 質問は、予断を排し被質問者の陳述弁解等の内容にとらわれることなくあくまで真実の発見を目標として行わなければならない。
(質問の態度)
第26条 調査員は、質問に当たっては冷静を保持し感情にはしることのないように留意しなければならない。
(任意陳述の確保)
第27条 調査員は、質問に当たっては、強制的手段をさけ、その場所、時期等を考慮し被質問者の任意の陳述を得るよう努めなければならない。
2 調査員は質問に当たっては、自己が期待し又は希望する陳述を暗示する等の方法にて、みだりに陳述を誘導してはならない。
(伝聞陳述の排除)
第28条 質問は、被質問者が直接経験した事実についての陳述を得るように努めなければならない。
2 重要な事項に係るもので伝聞にわたる陳述があったときは、その事実の直接経験した者について、更に質問を行うように努めなければならない。
(質問調書)
第29条 調査員が質問を行ったときは、その結果を質問調書(第3号様式)に正確に記載しておかなければならない。ただし、原因判定に必要と認められないものについてはこの限りでない。
2 調査員は、質問調書の作成に当たっては、次の各号に定めるところによらなければならない。
(1) 必要事項を簡潔に記載するものとし、いたずらに冗漫に流れないこと。
(2) 陳述の略語、方言、隠語等を用いて行われた場合において陳述の真実性を確保するために必要があるときは、これをそのまま記載し適当な註を附しておく等の方法を講ずること。
(3) 必要があるときは、問答の形式をとり又は被質問者の陳述の際の状態等記入しその状況を明らかにすること。
(署名捺印)
第30条 調査員は、被質問者の陳述を録取したときは、これを被質問者に閲覧させ又は読み聞かせて誤りのないことを確認した被陳述者の署名捺印を求めておかなければならない。
(署名捺印不能の場合の措置)
第31条 調査員は前条の場合において陳述者が質問調書に署名することができないときは、調査員が代筆し、その旨記入し押印することができないときはぼ印させなければならない。
(通訳人の介助)
第32条 調査員は、通訳人の介助を得て質問を行ったときは通訳人を介して当該質問調書を閲覧させ、又は読み聞かせ陳述者及び通訳人の署名捺印を得ておかなければならない。
2 陳述者及び通訳人が署名捺印をこばんだ場合においては、その旨記載しておかなければならない。
(資料の任意提出)
第33条 消防長又は消防署長は、火災の原因調査をするため必要と認める資料は、できる限り関係者に任意提出を求めるようにしなければならない。
(資料の提出)
第34条 消防署長は、調査のため必要な資料を関係者に提出させるときは、調査資料提出命令書(第4号様式)によらなければならない。
第6節 火災原因の判定
(調査結果の検討)
第36条 消防長又は消防署長は、調査員が作製した調査及び収集した資料を綜合的に検討して火災の原因を判定しなければならない。
2 前項の火災原因判定書には当該火災の原因判定に至るまでの経過を系統的にかつ、明確に記載し、事実を立証するに足る証拠を明らかにしておかなければならない。
第3章 死傷者調査
(報告連絡)
第40条 消防署長は、火災現場において死傷者があるとき又はあると認められるときは、速やかに消防長に報告するとともに所轄警察署長に連絡しなければならない。
(1) 住所、職業、氏名、年齢、性別
(2) 死亡、重傷、軽傷の別とその症状
(3) 死傷に至った経過
第4章 損害調査
(損害調査)
第41条 損害調査は、火災及び消火のため受けた、焼損、破損、水損等について行い、その結果を損害調査書(第14号様式)に記載しなければならない。
(届出書)
第42条 消防署長は、損害額決定のため、資料として関係者からり災届出書(第15号様式)を提出させなければならない。
2 前項の損害額はしゅう集した確実な資料により消防庁が定める火災報告取扱要領(平成6年4月21日付消防災第100号)の損害額の算出基準等に準じ算出しなければならない。
第5章 雑則
(写真撮影の心得)
第43条 火災現場、その他の写真撮影したときは、撮影日時、場所、方向、撮影者の氏名及び必要な説明を加えて保存しなければならない。
(原因未判定)
第44条 火災原因を判定するに至らない火災については、関係様式で報告したうえ、調査を続けその結果を追報しなければならない。
(防火管理等調査書)
第45条 防火管理に対する状況は、防火管理等調査書(第16号様式)を作成し、報告しなければならない。
2 前項の調査書は、現場における見分及び関係者の供述、通常の防火管理体制を示す台帳等を参考にするものとする。
(火災調査書類)
第46条 火災の調査書類は次のとおりとし、火災調査報告書を附し整理保存しなければならない。
(1) 火災原因判定書
(2) 出火出場時における見分調書
(3) 実況見分調書
(4) 質問調書
(5) 損害調査書
(6) 罹災届出書
(7) 防火管理等調査書
(8) 調査資料提出命令書
(9) 提出書
(10) 保管書
(11) 保管品台帳
(12) 鑑定処分承諾書
(13) 保管品還付請書
(14) その他必要書類
2 前項の調査書類は、重要な火災を除き、焼損の程度が比較的少ないものについては、調査書類の一部を省略することができる。
(謄本等の送付)
第47条 官公署より調査書類の送付を依頼されたときは、火災調査書類の謄本又は、写を送付することができる。
附則
この規程は、公布の日から施行し、昭和49年4月1日から適用する。
附則(昭和61年3月1日組合訓令第1号)
この訓令は、昭和61年4月1日から施行する。
附則(平成6年9月6日組合訓令第2号)
1 この規程は、平成6年9月6日から施行し、平成6年4月1日から適用する。
2 この規程の施行の際、現に作成されている改正前の規程に定める様式による用紙は、当分の間使用することができる。
附則(令和3年5月24日組合訓令第1号)
この訓令は、公布の日から施行し、令和3年4月1日から適用する。